花粉症 東洋医学の考え方

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花粉症への鍼灸

鍼灸・東洋医学では、花粉症は全身症状として捉えます。今頃の時期は肩こりや腰痛、自律神経症状、アレルギーの付随症状として花粉症の鍼灸をすることも増えてきます。

鍼灸治療では『 気・血・水 』の滞りを解消し、五臓のバランスをとることで身体が本来持っている免疫力を発揮できるようにします。花粉症はアレルギー反応ですが、過剰な反応をおこさずにバランスを保てるようにします。

鍼灸・東洋医学では春は発散の季節。( 鍼灸東洋医学的には、季節は暦で考えるので立春を過ぎると春に入ります。) 春は身体のなかにため込んだものを外に排出する季節です。

鍼灸的には、 身体の良い状態を保つために『 余分なものは溜め込まず、排出すべきものは
積極的に外に出すべき 』と考えます。最近のデトックスの考え方に近いですね。

春の季節の皮膚症状(かゆみや発疹)、 喉・胸のつまり(呼吸のつまり感、寒暖差や環境変化でつまり感、ドキドキ)など皮膚や呼吸器症状は、身体の中から外へ排出しようとする防御機能、 身体の自然な働きであると捉えます。

滞りのない身体、排出できる身体のためには、普段から身体の状態を整えておくことが大切。未病を治すというのはそういうことなんだなと、最近、特に思います。

花粉症の身体は冷えている

花粉症がきつい患者さまの身体をみてみると、 足先を触るとびっくりするほど冷たい。 お腹も冷たい。本人の体感的には、気温も上がってきてからだも暖かい。 むしろ暑いくらいという方もいらっしゃいます。

鍼灸・東洋医学的にいうと、花粉症の方は、『 上実下虚 』。 上半身はのぼせているけれど、下半身が冷えている、いわゆる『 冷えのぼせ 』の方が多いです。

『 冷えのぼせ 』 は、体感と体の内部の状態を真逆に感じられていることが多いだけに、解消には継続的な冷え性対策が必要になります。

アレルギー症状は、アレルギー体質とアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)の影響は大きいのですが、症状を強くする要因はその時々の体調が大きく影響しています。

花粉症は胃腸・消化器系が冷えて弱って水はけが悪くなり、水分の巡りが滞っているところに、 ストレスなどで気の流れも滞り、水と熱のバランスが偏って上半身に滞った熱や水が涙や鼻水をあふれさせている状態。

鍼灸では 『 気・血・水 』の 巡りや五臓のバランスをとることで身体の過剰な反応を落ち着かせます。花粉症の鍼灸治療では、気の変調、水の変調、季節の邪の影響。 いろいろな側面から身体をみて治療をしていきます。

花粉症へのお灸

花粉症への鍼灸。根本的なアプローチは全身への鍼灸がおすすめ。
鍼灸にて体質改善のアプローチをさせていただきます。

体質改善のためには、鍼灸だけでなく、食事や冷え防止など、日常生活の改善をおこないながら少しづつ体質や習慣の見直しが必要になります。
少々、お時間がかかります。

どうしても涙や鼻水が我慢できない。 局所的な、つらい目や鼻など顔面部には、鍼でツボを刺激するアプローチをおこないます。
熱くても良い。短時間でも良いので止めて欲しいという時、リクエストがあった場合のみ、頭のツボに直接火をつける、少々熱いお灸をします。

花粉症の頭のお灸では、ピリッと熱を感じるお灸をします。 熱い & 髪の毛も少し焦げます。症状がつらい時のお灸の熱はとても気持ちが良く、花粉症状も軽くなります。花粉症のお灸をご希望の方はお申し出ください。

花粉症のセルフケア

鍼灸的におすすめの花粉症のセルフケアは、ツボの刺激とお灸ケア。ツボ刺激は、顔周り、鼻の周りのツボや顔の胃経のツボがおすすめです。痛くないくらいに5~10秒押圧します。

花粉症のツボ 顔の絵

お灸は手軽につかえる簡易灸でOK。手の胃腸系のツボの合谷、曲池、手三里。足の胃腸系のツボの足三里。肝経の大衝もおすすめです。

花粉症予防の食事

花粉症のつらい症状は、胃腸が冷えて弱っていると強くあらわれやすいので、お腹を温める食事をとりましょう。

鍼灸・東洋医学的には、花粉症は『 脾 』が弱っていることが多いので、湿邪、水の停滞を招く甘みやアルコールの過多は厳禁。上半身に熱がのぼりやすいので、極端な辛味や刺激の強い食べ物は控えましょう。

花粉症におすすめの食材

  • 長いも - 山薬とよばれ、胃腸のはたらきを良くして免疫力を高めます
  • レンコン  -  胃腸を助けアレルギー体質の改善に有効です
  • シソの葉、にら、春菊  -  気の巡りをスムーズにする
  • 大根、ゆり根 -  水を巡らせる( 水の停滞、むくみが強い時に)
  • 生姜、長ネギ - 身体をあたためて血行を良くする
  • 山菜

春の食材、香りの強い山菜は苦味が強く、少量でも食事のアクセントになります。東洋医学では苦味は解毒や炎症を鎮める作用があると考えます。新鮮な山菜が手に入るのであれば、この時期にぜひ取り入れて欲しいおすすめ食材です。

お茶

解毒・抗菌作用の強い『 ドクダミ茶 』、かゆみ対策に 『 べにふうき茶 』 もおすすめです。

発酵食品をとる時に大切なこと

花粉症やアレルギー症状の改善には腸内環境が大切。花粉症に発酵食品はもちろんおすすめです。気をつけていただきたいのが発酵食品の食べ方。

ヨーグルトや納豆、ぬか漬け、ザワークラウトなど発酵食品は、冷たい状態で食べることが多いので、胃腸を冷やしやすいというマイナス面もあります。

『 発酵食品を冷たいまま食べない 』

  • 発酵食品に無理に熱を入れる必要はありません
  • 温かいご飯やメインの副菜としてとりましょう
  • 冷たい発酵食品ばかりを食べる偏食はやめましょう。

胃腸・消化器系の働きが低下している時、 冷たい飲食物の胃腸へのダメージは思いのほか大きいです。身体に良いことをしているつもりで、真逆の結果になっていることがあります。

今の時期は常温でも十分冷たく、冷蔵庫から出したてをそのまま食べるのは厳禁です。 何を食べるかだけでなく、どのように食べるか。食品だけでなく食べ方の見直しも必要ですね。

継続は力なり

地味なケアでも続けることができると体質は変わります。

私も学生時代からの花粉症。昔は、花粉症の服薬、目薬、吸入だけでなく、シーズン前には注射をして時期に備えました。 今は、肌のかゆみと喉の荒れはありますが、日常生活は薬なしで過ごせています。

食事・冷え対策・アレルゲン対策、どれも大切ですが、一番大切なのは身体づくりです。

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