安産灸

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妊娠期の養生に安産灸

昔から鍼灸に伝わってきたお灸の一つに、妊婦さんのための安産のお灸というものがあります。母胎と赤ちゃんが健やかに妊娠時期を過ごすために安産灸で気血のめぐりを整えることをおすすめしています。

お腹の中の赤ちゃんは、血流によって運ばれる栄養や酸素によって成長します。骨盤内の血流が良くなることで母胎内での栄養の供給や吸収がスムーズになり、丈夫な赤ちゃんに育ちます。

妊娠・出産の前後には腰痛・骨盤周りの痛みや恥骨痛、色々な関節痛もあらわれやすくなります。妊娠中は腰を反らす姿勢になるため、腰痛や股関節痛、足の浮腫みがあらわれやすくなります。

安産のお灸をすることで、妊娠中のむくみやだるさが緩和されます。寝ている時に足がつってしまう方にもおすすめです。

安産のお灸により骨盤内の血流を潤滑に保てると、妊娠期・出産・産後の養生期の急激な身体の変化に対応しやすくなります。妊娠時期の浮腫みや腰の痛みの緩和だけでなく、出産時に子宮口が柔軟に産道がひらきやすくなり、出産を楽に迎えることができます。出産後の肥立ちや母乳分泌も良好になります。

養生とは生を養うこと

文字通り、『養生とは生を養うこと』です。デリケートな時期ほど、食事や匂い、肌に触れるものなど周囲の環境に敏感になります。

命を育むための準備は、ご自身の感性にしたがって行うことが一番です。

妊娠中は匂いに敏感になりますが、つわりで鍼灸にいらっしゃった方も、もぐさの匂いは癒される、リラックスできるとおっしゃる方が多いです。デリケートな時期に感覚的にはたらきかけるものがあるからこそ、昔から伝わってきたのだなと思います。

リラックスして、より良い状態で出産に向かうために。心と身体を調える安産のお灸は、安定期に入ったらおすすめのお灸です。
 

安産のお灸の方法と時間

当院では肩や背中・腰など全身の緊張を和らげる鍼灸をおこなってから安産のお灸をおこないます。安産灸は、『 三陰交 』 という足の内くるぶしの少し上にある経穴(ツボ)にお灸をおこないます。

施術の時間はお身体の状態や鍼灸に慣れているかによって変わります。慣れていない方や敏感な時期には少し短めに、全部合わせておおよそ30分~45分になります。
身体の状態を一番に考えた施術をいたします。

安産のお灸を行う頻度

1か月に2回のマタニティ鍼灸とご自宅での安産灸がおすすめです。お灸はできるだけ毎日続けていただきたいため、ご自宅でのお灸もお勧めしています。

自宅でのお灸を希望される方には、手足のツボに印をつけてお灸の方法を覚えていただきます。

安産灸を自宅でおこなう時の注意点

ご自宅での安産のお灸は母体が安定期に入る5ヶ月目、胎動を感じる時期から始めることを推奨しています。はじめは3~5壮位から始めて、月がすすむごとに壮数を増やし臨月まで施灸します。

妊娠中は体重の増減やむくみなど身体の変化から、日々、ツボの位置が変わっていきます。また足の冷えや浮腫みに左右差がある方も多く、定期的にツボの位置や回数を確認する必要があります。

足にはたくさんの経穴(ツボ)がありますが、特に内くるぶしの周りは婦人科系のツボも多く、むくみが強いときに本をみながら探してもなかなか上手にとれていないことが多いです。

お灸を行う際には、それぞれの身体の状態によってお灸をおこなうツボの位置や回数をこまめに調整したほうが効果的であり、なによりも安心です。ツボの位置や回数は自己判断ではなく、必ず鍼灸師にみてもらってからおこないましょう。

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