腱鞘炎

腱鞘炎の鍼灸

腱鞘炎は女性に多い症状です。男性よりも筋肉量が少ないこと、筋肉や腱が女性ホルモンのバランスの変化の影響を受けることが挙げられます。

腱鞘炎への鍼灸では腕肘部だけでなく肩背部や全身の柔軟性を高めることが必要であると考えます。手指や手首の腱鞘炎の時にも、 酸素や栄養を補給して 疲労や痛みを取り除くために、 関わりがある周辺部位や全身のバランスの調整を行います。

腱鞘炎にホルモンバランスの変化が影響している時には、自律神経も乱れていることが多いため、 痛みの部位のみにおこなう鍼灸ではなく ホルモンバランスと自律神経のバランス、両者の改善を重要視します。

仕事や家事、育児などで同じ姿勢でいることが多く、腕や手首だけでなく、首、肩、背中、腰などにも負荷が蓄積されて全身の緊張が強い方が多いため、身体全体のバランスをみて、鍼灸を行います。

『 腱鞘炎の鍼灸 』では、自律神経系や女性ホルモンバランスを整えることが大切になるため、鍼灸では、全身的な調整をおこない身体の回復力を高めたうえで痛みの部位にも鍼とお灸をおこないます。

症状により個人差がありますが、当院では、効果的な機能回復の為には週1~2回ほどの通院をおすすめしております。

鍼灸・東洋医学的な観方

東洋医学的な観点では、 腱鞘炎は筋の使いすぎや過度な負荷による疲労の積みかさなりから、血虚や瘀血(おけつ)の状態となり、気血が滞ったために虚熱が経絡に波及して痛みや腫脹が発生している状態と捉えます。

血虚や瘀血(おけつ)による 熱症状として捉えられるため、寒熱の観点では熱証と考えられますが、身体全体の状態は痛みの部位以外は冷えている寒証、冷え性の方が多く、気血の滞りから、熱と冷えのバランスの悪さが問題となっていることが多くみられます。

はりきゅうの実際では、全身に鍼とお灸をおこなうことで痛みを発生させている経絡の気血の滞りを改善して、気血のバランスを安定させ、熱の停滞を解消することによって痛みを和らげていきます。

更年期・産後・手術後の腱鞘炎 と 気血の滞り・瘀血(おけつ)

更年期や各種手術後の瘀血(おけつ)が考えられる場合、瘀血(おけつ)を改善させてから、経絡の気血の滞りを解消していきます。

虚労やストレスにより胃腸の状態が低下している方が多く、睡眠状態の改善や脾胃の状態の改善、胃の気の状態の安定が必要となります。

腱鞘炎

腱鞘炎の定義

身体を動かす関節につながる筋肉。その一端は、ひも状の腱(けん)となって筋肉と骨をつないでいます。 腱鞘とはその腱を包む鞘(さや)で、滑液を満たし腱の動きを滑らかにしています。

この腱と腱鞘の間の滑らかな動きが障害されて、炎症を起こしている状態を 狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)とよびます。

炎症部位を腱が通る時に発生する腫脹部位の摩擦などが、 腱鞘炎とよばれる強い痛みやしびれ症状をあらわします。

腱鞘炎の症状

腱鞘炎では、手首、指、肘、足首など関節部位の強い痛み、腫脹や痺れや熱感が多くみられます。 腱に近い炎症部分の関節を、少しでも動かした時に感じる引きつるような強い痛み、炎症部分の動かしにくさが腱鞘炎の特徴です。

腱鞘炎は、炎症が悪化する以前に前駆症状をあらわします。
酷使している部位のだるさや動かしにくさ、関節の違和感や熱感、 または、関節を動かす時のきしみ感覚や不自然な音がする場合、 腱鞘炎の初期症状がうたがわれます。

腱鞘炎というと手指や手首をイメージしがちですが、腱・腱鞘がある部位、 手・指・肘・足首など様々な部位に腱鞘炎は発生します。

手指の狭窄性腱鞘炎ではドゥケルヴァン病やバネ指(弾発指)、 肘関節の狭窄性腱鞘炎では、テニス肘や野球肘などがよく知られています。

腱鞘炎は筋肉疲労の蓄積

腱鞘炎のほとんどが日常的に酷使する関節部位に発症することから、 職業上や習慣的な動作による、関節への過度な負荷が要因として考えられます。

デスクワークの方や楽器演奏者、テニスや野球などのスポーツをする方、 手仕事や家事にて、同じ部位を長時間もしくは断続的に使い続ける人に多くみられます。

腱鞘炎は 限局的な強い痛みのために、その箇所だけに問題があると思われがちですが、 関節や筋肉の慢性的な疲労から炎症がおきている状態です。

日常的な動作による継続的な負荷、疲労の積み重なりにより関節や周辺の筋肉は緊張します。筋肉の緊張が続くと、 痛みがあらわれている部位だけでなく周囲の筋肉、全身の血流が低下して酸素や栄養がいきわたらなるため、更に疲労が蓄積されます。

疲労が蓄積した筋肉は柔軟性を失い、十分な伸縮ができなくなるため、 筋の終着である関節部位にストレスがかかり、スムーズな関節運動ができずに炎症が起こり腱鞘炎となります。

クリニック ・総合病院や整形外科

総合病院や整形外科では、症状の程度に応じて、
「 保存的療法 」 「 ステロイド注射 」 「 腱鞘切開手術 」
が、治療方法の主となります。

局所的な治療やステロイド注射で炎症を解消しても、関節部位の酷使による負荷や疲労が軽減されないと再発を繰り返してしまうケースもみられます。

腱鞘炎が多発する場合はリウマチが原因のことも考えられるため、 関節の炎症と痛みが頻発する場合は専門医の受診をお勧めします。

女性ホルモンの変化と腱鞘炎

女性が男性よりも腱鞘炎になりやすい要因として、 筋肉量が男性よりも少なく、腱が細いことが原因の一つにあげられます。 細い腱であるほど日常的な負荷に対する負担も大きく、同じ動作をおこなっても炎症をおこす割合は高くなります。

腱鞘炎は 妊娠出産時期や更年期の女性に多いことが知られています。これは女性ホルモンのバランスの変化の影響です。

出産後の腱鞘炎・関節炎とプロゲステロン

女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンがあります。

出産後はプロゲステロンの作用により、 腱鞘炎や関節痛など身体の痛みがおこりやすくなります。

プロゲステロンは、妊娠・出産の際に多く分泌されますが、 出産時にゆるんだ子宮や骨盤を元に戻すために腱鞘を収縮させる作用があります。 ホルモンは全身に影響を与えるため、子宮や骨盤周辺だけでなく全身の腱鞘が収縮して、腱と腱鞘の摩擦が起こりやすくなります。

その上、乳幼児のお母さんは子供を頻繁に抱っこして家事をこなすために関節(特に手首)の酷使が加わり、腱鞘炎が頻発します。 プロゲステロンの作用は、出産後もしばらく続くために、腱鞘炎以外に膝関節痛や股関節痛など各種関節痛を発症しやすくなります。

更年期の腱鞘炎・関節炎とエストロゲン

エストロゲンには腱や腱鞘をやわらかく、弾力性を保持する働きがあります。 更年期を迎えると、閉経によってエストロゲンの分泌が急激に減少するため、 腱や腱鞘の柔軟性が低下、摩擦が起こりやすくなり腱鞘炎が発症しやすくなります。

妊娠出産や閉経などによるホルモンバランスの変化のほかに、 ストレスや過労、睡眠不足などの自律神経の乱れも、 ホルモンバランスの乱れと同様に腱鞘炎の要因となります。

男性でも年齢によるホルモンバランスの変化から、 男性更年期症状として、女性の更年期と同様の腱鞘炎や各種更年期症状があらわれます。

腱鞘炎の早期回復のために

腱鞘炎は、早めに気付いて治療をおこなうと、慢性化することなく早期に回復できます。 違和感を感じた時に休息をとることが、予防・回復・治癒の一番です。

日常的な負荷を避けて安静にしていれば治りやすい反面、 日常的な負荷が軽減されないと、負荷の積み重ねによって再発・ 慢性化しやすく、 回復までにも時間がかかります。

腱鞘炎の初期症状は、指や腕を動かしたときに痛みを感じる、違和感があるという程度です。 特定動作をおこなわない状態で 『 痛み 』 や 『 しびれ 』 が持続して感じられる、関節の腫脹がみられる状態は慢性化の徴候です。

初期症状があらわれた段階で家事や仕事の負荷を軽減する、または軽減できなくでも睡眠等の休息をしっかりとることが大切です。

休息がむずかしい時には

慢性化や再発を防ぐためには、炎症部位の筋肉を酷使をしない事が一番ですが、 仕事や生活上の休息がむずかしい場合には、周辺の筋肉の緊張をゆるめて疲労をとりのぞく必要があります。

鍼やお灸はもちろん、ご自身に合った方法で身体の疲れを癒すことが大切です。

ばね指

指の屈筋腱に起こる腱鞘炎のことで「弾発指」とも呼ばれています。 バネ指は、指の腱鞘に炎症が起きて指を屈曲あるいは伸展しようとすると 中途でひっかかったようになり、指の曲げ伸ばしがスムーズにできなくなります。

無理に力を入れたり他動的に動かそうとすると、ばね仕掛けのように 突発的に屈曲あるいは伸展の動作がおこります(弾撥現象)。

指の付け根と手の平側に痛みを生じ、ひどくなると曲げた指を自動的にのばせなくなるため、握る・掴む動作がむずかしくなるなど日常生活にも支障をきたします。手の母指に多くみられますが、すべての指に発生する可能性があります。

ド・ケルヴァン病 ( de Quervain )

手首の親指側の腱鞘(長母指外転筋および短母指伸筋の腱鞘)に慢性炎症が起こり、腱鞘が肥厚、瘢痕化、腱と腱鞘間の狭窄、癒着をきたし痛みを発します。

局所を中心として強い圧痛があり、脹れ・発赤も多くみられます。
物を握る、つまむ、タオルをしぼるなどの動作で痛みを強く感じます。

ドゥケルヴァン病の診断方法

フィンケルスタイン(Finkelstein)テスト ―
親指を中に入れグーを作り、小指側へゆっくり回します。
その時手首に痛みを感じたらドゥケルバン腱鞘炎の疑いがあります。

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